Q9-7 知財信託とは?

A9-7
知財信託とは企業,大学,個人などが所有する知的財産権を信託会社に預け、その信託会社が知的財産権のライセンス先や売却先などを見つけて収入を得ることを言います。

知財信託によって得られた収入は元の知的財産権所有者と信託会社の間で分配されます。実は知財信託は、2004年12月の信託業法改正により初めて可能になった受託財産運用の形態であり、歴史的に見ても非常に若い財産運用方法です。知財信託に力を入れている信託銀行としては、『三菱UFJ信託銀行』、『住友信託銀行』、『みずほ信託銀行』があります。

著作権信託、住友信託銀行の例

国内初の著作権信託は2004年11月24日のアーティストハウスと住友信託銀行の例で、アーティストハウスの所有する映像ソフトの販売権を住友信託銀行が信託財産として預かり、小口化して一般投資家に販売を行うという手法でした。この知財信託の手法の最大の利点は住友信託銀行という強力な販売網を利用して、アーティストハウスが資金を集めることができるという点にあります。

特許権信託、三菱UFJ信託銀行の例

国内初の特許権信託はトキワ精機と三菱UFJ信託銀行(2004年11月29日発表、2005年3月29日正式調印)の例で、トキワ精機から信託を受けた三菱UFJ信託銀行が、大手産業用部品メーカーとライセンス契約を締結しました。これにより、トキワ精機は年間数千万円のライセンス収入を得られる見込みとなりました。

著作権信託、みずほ信託銀行の例

その他には2005年4月にディーライツとみずほ信託銀行の間で行われた著作権信託が知財信託の事例としては有名であり、DVDの売り上げや海外放映のライセンス料などで将来作品が生むであろう収益を受け取る権利をみずほ信託銀行が小口化して機関投資家に販売し、その収益の一部をディーライツに支払うという手法で、未完成作品の権利を信託した例としては国内初の知財信託事例となりました。

知財信託は主に特許権と実用新案権を対象とする場合と、著作権を対象とする場合とに分けられます。

特許権・実用新案権信託のメリット

特許権と実用新案権を対象とする知財信託の最大のメリットとしては、それ単体では運用価値の無い眠っている特許権や実用新案権を信託会社にプールし、有機的に結びつけることで新たな価値を生み出す可能性が出てくることや、知財信託した場合はその財産権は知財信託した先の信託会社にあるため、たとえ特許権を所有していた企業が倒産した場合であってもその権利を守ることができるという倒産隔離機能があるということなどがあります。

著作権信託のメリット

著作権を対象とする知財信託の最大のメリットはその権利を信託銀行を通して小口化し、一般投資家や機関投資家に販売できるため、資金調達が安定するという点にあるといえるでしょう。

知財信託の現状

しかし、信託会社に知的財産の運用に十分な知識と経験を持った人材がいないことや知的財産権は無体財産であるが故にその資産価値の推定というものが難しく、またその資産価値も変動しやすいことなどから、ハイリスクであるわりにはその分のリターンが得にくいとして、未だ知財信託は世間に浸透してはいません。ですが、知財信託はその市場規模としては非常に大きいものがあるとの予測されており、知的財産の運用に明るい人材というものが今、信託業界の中で求められています。

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