特許出願
特許出願
特許出願は、「発明者」および「出願人」の表示を行った願書と共に、「特許請求の範囲」、「明細書」、必要な「図面」(図面がない場合もあり)、「要約書」の各書類を同時に提出して行う。
「出願人」が、将来の特許権を所有する特許権者となるものである。
- 発明者であっても、「出願人」として記載されていない限り、特許権者にはならないことに注意。
- 出願人と発明者とが異なる場合は、出願人はあらかじめ「特許を受ける権利」を発明者から譲り受けていることが必要である。
- 出願人は一人でも複数名でもOKである。
( 例.「個人(一人)」、「法人(一人)」、「個人+法人」、「法人+法人」等) - 発明者を出願人とする(出願人に含める)ことも当然に可能である。
(例.出願人を、「従業員である発明者+その雇用者である法人」にする等) - 出願人は、特許出願後に変更可能である(出願人名義変更届の提出が必要)。
(例.「個人」→「法人」、「法人」→「法人+法人」、「法人A」→「法人B」等)
「特許請求の範囲」は、権利要求する範囲で(独占範囲を決定づける内容となる)、もっとも重要な書類である。
作成にはハイレベルな知識と経験を要する。
「明細書」は、「図面」と共に発明を開示する説明書部分であると考えればよく、「特許請求の範囲」を裏付ける内容とする必要がある(発明の開示に見合った範囲での独占権としての特許権の付与が、特許制度の基本である)。
特許出願時には印紙代を要する。(印紙代計算式:16,000円の定額)
特許出願日から1年以内に、外国特許出願や国内優先権主張出願を検討する。
外国への特許出願や国内の特許出願について、元の特許出願日を主張できるという利点がある(優先権制度)。
国内優先権主張出願
- 国内優先権主張出願は、外国への特許出願の場合と同様に、元の特許出願の出願日を主張できる日本国用の特許出願であって、補正によっては対応できない場合等に選択される特許出願であり、特許出願のやり直しとして位置づけることができる。
- 例えば、元の特許出願に比して、実施例を補充したり、権利要求範囲を広げる等の内容に置き換えられた特許出願とされる。
- 元の特許出願日が主張できるのは、あくまで元の特許出願時に開示されていた範囲に限定されるのに注意(国内優先権主張出願において始めて開示された技術事項は、国内優先権主張出願における実際の出願日を基準に新規性等が判断される)
方式審査
特許出願の方式(形式)上の要件を満たしているか否かの審査であり、発明の内容に立ち入らない段階のものである。
例えば、発明者や出願人の住所が正しく表示されていなかったり、印紙代を納付していなかったりした場合に、補正命令が出される。この補正命令に従わないで放置すると、特許出願が却下となって、特許権取得が不可能になってしまう。
また、出願人の表示がなかったとか、明細書を添付しなかったというような重要な項目(書類)が欠けていると、補正不可能で、特許出願が却下になってしまうことになる。
弁理士に依頼する限り、方式審査の結果で特許権取得が不可能になってしまう事態の発生ということは、通常は考えられないことである。
出願公開
特許出願から1年6ヶ月を経過した時点ですみやかに、出願された内容が公開される(公開公報の発行で、この後は特許出願された発明は公知となる)。
ただ、請求により、出願日から1年6ヶ月よりも早い時期に出願公開してもらうことも可能である。
出願公開の積極的な効果(出願人からみた利点)
- 出願時点での記載範囲内で、後に出願された他人の発明を拒絶することができる(後願排除の機能)。
- 出願公開された発明を実施する他人が存在するときは、この他人に対して出願公開された発明であることを事前に警告しておくことを前提として、特許権取得後に実施料相当額を請求できる(補償金請求権の発生)。
- 出願公開された発明を他人が業として実施している場合は、他の出願に優先して審査を受けることもできる(優先審査の請求)。
出願公開の消極的な効果(出願人からみた欠点)
- 発明の内容がライバル企業にも知られてしまう。
- 出願公開後に行う後の発明についての出願についても、出願公開された自分の発明が先行技術として機能してしまうことになる(自分の改良発明を出願公開後に出願すると、出願公開された自分の出願の存在を理由に拒絶されてしまう場合もある)。
- 他人による情報提供(先行技術の情報提供)を受ける場合がある。審査官が見落とすかもしれない特許性を阻害するための有力な先行技術が提供される可能性あり(特許後も無効にならない安定した特許権を確保するという観点からは、かならずしも欠点とはいえない面がある)。
出願審査請求
特許権を取得するには、審査を受ける必要があるが、審査を開始してもらうためには、出願審査請求を行う(出願審査請求書を提出する)必要がある。
出願審査請求は、出願日から3年以内に行う必要がある(出願と同時も可)。
- 出願日から3年以内に出願審査請求しない場合は、自動的に特許出願が取り下げられたものとみなされて、特許権取得は一切不可能である。
- 出願日から3年という期限は一切延長不可能であり、1日たりとも遅れた時点で特許権取得が不可能になるので要注意である。
審査は、原則として、出願審査請求された順番に行われる。したがって、早く特許権を目指すならば、早めに出願審査請求を行えばよいことになる。
現在、出願審査請求してから、審査の結果が始めて通知されるまでに、2年程度の長期間を要しているので、早い特許権取得を目指すならば早期審査や優先審査の利用も考える。
出願審査請求には高額の印紙代を要する。
- 特許出願が平成16年4月1日より前に行われた場合
- 84,300円+請求項数×2,000円
- 特許出願が平成16年4月1日以後に行われた場合
- 168,600円+請求項数×4,000円
実体審査
実体審査は、特許してもよいか否かについて、技術専門家でもある審査官により行われる審査である。単に「審査」というときはこの「実体審査」を示すことが一般的であり、以下の説明では「実体審査」のことを単に「審査」と称する。
審査は、拒絶理由として法律に列挙されている項目に該当しないか否かを判断することであり、主として、「特許請求の範囲」の記載から把握される発明が新規性、進歩性を有するか否か、同一発明について既に他人によって特許出願あるいは特許化されているか否か(先後願の関係の審査)、さらには「特許請求の範囲」や「明細書」等の記載に不備な点がないか等について行われる。
拒絶理由通知
審査の結果、そのままでは特許できないと審査官が判断したときに、出願人に対してなされる通知である。
但し、拒絶理由通知がきてもあわてないこと。
- 審査官は、少しでも特許性に疑問を持てば拒絶理由通知を出すものである。
- 拒絶理由をクリアして特許を得るという手順を踏むことは極一般的である。
- 拒絶理由通知がきたから出願内容がよくなかったということでもない。
- 出願時点では「広い権利範囲を要求しておく」ことが一般的であり、このため拒絶理由通知を受けやすいということも念頭においておくこと。
- 拒絶理由通知に引用された先行技術との兼ね合いから「適切な権利要求範囲に狭める」補正を行うということも極一般に行われていることである。
拒絶理由通知を受けないように、出願時点から権利要求範囲を狭めておくことも考えられるが、後に、「狭い」ものを「広い」ものに補正することは難しいという実情もある。
出願時点では、基本発明は「広い権利範囲要求」とし、改良発明あるいは防衛的な発明は「狭い権利範囲要求」というように使い分けることも考慮すべきである。
拒絶理由通知に対応するために弁理士に依頼するといっても過言でない。
これに応答しなかったときは、自動的に拒絶査定となる(特許権の取得断念となる)。
拒絶理由の検討および意見書・補正書の提出
拒絶理由通知がきたときの対応であり、例えば、「特許請求の範囲」の記載を限定したり(権利要求範囲を狭くする)、「特許請求の範囲」、「明細書」等の記載不備部分の補正を行ったり(補正書の提出)、引用された先行技術と対比しつつ出願発明が新規性や進歩性を有すること等の反論を行う(意見書の提出)。
- 補正書作成、意見書作成にはハイレベルな知識、経験を要し、補正書や意見書の内容の良否が特許権の取得可否の分岐点でもある(出願を弁理士に依頼する大きな理由のひとつでもある)。
- 拒絶理由通知に対応しないときは、自動的に拒絶査定となる(特許権取得断念)。
- 拒絶理由通知およびこれに対する応答が複数回となることも珍しくないので注意。
- 拒絶理由通知対応には弁理士手数料を要するのが一般的。
分割出願することも検討する。
- 例えば、拒絶理由の対象となっている一部請求項について別途分割出願を行なう一方、拒絶理由の対象とされていない残りの請求項はそのまま元の出願に残して速やかに特許化を図る。
- 分割出願は新たな出願なので、別途出願費用を要する。
- 分割出願は、元の出願(親出願)の出願日を主張できる。
特許査定 (拒絶理由解消)
審査の結果、特許OKという審査官の最終判断を示すものである。
- 特許査定が出願人に通知される(出願人にとっては待ちに待ったうれしい通知である)。
- 拒絶理由がない場合や、拒絶理由があっても出願人の対応(意見書、補正書の提出)によって拒絶理由が解消されたときは、特許査定となる。
- 弁理士費用として成功報酬(謝金)を要するのが一般的である。
- 特許査定があったときは、特許料納付によって特許権が発生する
拒絶査定
- 審査の結果、特許不可という審査官の最終判断である。
- 拒絶査定が出願人に送付される(出願人にとってはがっかりの通知となる)。
- 拒絶理由通知に応答しない場合や、出願人の対応(意見書/補正書の提出)によっても拒絶理由がなおも解消されないときは拒絶査定となる。
- 拒絶査定不服審判を請求することにより、再度特許権取得を目指すこともできる(拒絶査定不服の審判の説明を参照)。
- 拒絶査定不服審判を請求することなくそのまま放置すれば、拒絶査定が確定して、特許権取得は不可能となる。
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Posted at 2007-5-13
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